「ピクトグラムを自分で作ってみたい」
「ピクトグラムは初心者でも作れるの?」
「ピクトグラムはどうやって作るのだろう?」
自分でピクトグラムを作ってみたいけど難しそうだなと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
「ようこそ、初めまして」ピクトグラム愛好家のSPEC3618です。
私はユニバーサル・デザインなどについても勉強してきた中で、ピクトグラムの表示があることで、より多くの人にとって優しい社会になることができると考えています。
日本を訪れる外国人観光客が増え、ジェンダーについても考える機会が増えてきた中で、ピクトグラムの需要はますます高まっています。
まだピクトグラムが設置されていない公共施設、病院や学校、観光地や飲食店に1つでも多くピクトグラムが設置されて、その恩恵を享受できる場所が増えて欲しいと願っています。
この記事では、デザイン初心者の方向けに
・ピクトグラムをデザインするときのポイント
・ピクトグラムの歴史
・ピクトグラムを作るためのツールとテクニック
・ピクトグラムが購入できるおすすめサイト
などをご紹介しています。
現在のAI時代の最新のピクトグラムの作り方も合わせてご紹介しているので、ぜひ参考にして作ってみてくださいね。
筆者紹介
名前 : ピクトグラム愛好家SPEC3618
年代 : 1968年生まれ(完全なる昭和世代)
趣味 : 映画観賞(古いものから最新のものまで)
音楽を聴きながらドライブすること(主に80年代や90年代)クルマも運転も好き
仕事 : 35年間、各種印刷や看板のデザインを数多く手がけてきたアートディレクター
実績 : イベントポスター、会社案内、商品カタログ、パッケージ、施設の案内看板など
アナログ時代の写植、製版、印刷からデジタルに移行したDTPの現場を数多く経験
資格 : ユニバーサル・デザイン検定を取得したことをきっかけに、より多くの人にとって
優しい社会の実現に関心を抱き、ピクトグラムの必要性を実感。
少しでもピクトグラムを社会に浸透させたいとの思いから、ピクトグラムを作りたい方を応援したいと考え、サイトを運営しています。
目次
1.【押さえておきたい】ピクトグラムのデザイン4ポイント!
2.ピクトグラムの歴史を学んでからデザインしよう!
3.ピクトグラムを作るためのツールと時短できる作業の進め方
4.AIの出現で大きく変わるこれからのピクトグラム・デザイン
5.ピクトグラムの著作権と購入出来るおすすめサイト
6.常に追加されているピクトグラム
7.まとめ

1.【押さえておきたい】ピクトグラムのデザイン4ポイント!
ここではピクトグラムを作るときに、押さえておきたい4つのポイントをお伝えします。
①デザインはとにかくシンプルに
②統一性のあるデザイン
③直感的に理解できるデザイン
④色にも情報を伝える意味を持たせる
それでは①から④のそれぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。
①デザインはとにかくシンプルに
ピクトグラムはとにかくシンプルで分かりやすいデザインであることが重要です。
ピクトグラムは、文字や複雑な説明文に頼ることなく、ひと目で意味や目的を伝える必要があるからです。
そのため、具体的な形状や色を使いながら、余分な要素や複雑なディテールを省く必要があります。ピクトグラムを作るときは、デザインがシンプルになっているか必ずチェックしましょう。
②統一性のあるデザイン
ピクトグラムを作るときは、同じ種類の情報を伝えるピクトグラムの形状やスタイルと統一性のあるデザインにする必要があります。
ピクトグラムは言語に依存せず国や文化を超えて理解されることが重要だからです。
例えば異国の地に訪れた外国の方が言葉も文化も違う地で、何かの目的を達成しようとした場合、世界共通のアイコンともいえるピクトグラムが存在する事で、解決できる問題は多くあります。
デザインする前に同じ種類の情報を伝えるピクトグラムがどんなデザインなのかを確認しておきましょう。
③直感的に理解できるデザイン
ピクトグラムは直感的に理解できるように設計する必要があります。
国籍や言葉の壁を超えて、多くの人が目的や意味を即座に理解出来ることが共通の認識を持って、コミュニケーションをはかるためには、最も重要だからです。
自己判断だけでなく、必ず一定の基準を満たした上で第三者による検証もします。
言葉がわからなくても、ピクトグラムを見ただけで、意味や目的が直感的に理解できるのかという視点を持つことを忘れないようにしましょう。
④色にも情報を伝える意味を持たせる
ピクトグラムを作るときには、色にも情報を伝える意味を持たせることができるということを覚えておきましょう。具体的には信号機や道路標識を思い出してもらうと分かりやすいと思いますが、赤や黄は危険や警告を表し、青や緑は安全や許可を表すことが一般的です。
ピクトグラムはシンプルなデザインにすることが大事だとお伝えしましたが、シンプルであるが故に、形だけでは意味が伝わりにくい場合があります。
その場合は直感的に理解してもらうために、色で一瞬の判断をさせたり、情報を伝えるという手段も必要となります。
「形」だけでなく「色」もピクトグラムの表現手段として工夫してみてください。
ただし、ピクトグラムの色について注意して欲しいこともあります。
それは「あえて色による区別をしない」ケースもあるからです。
日本ではこれまでピクトグラムの配色で男女の区別をしてきましたが、ジェンダー問題や海外文化に合わせた表現とするために、最近では色での区別を避け、形による違いを重視したデザインへと改良されています。
また、色覚異常を考慮する必要性はあるため、形状やパターンだけで理解できるように設計するケースもあります。使用される状況などを考慮し、第三者による評価などを取り入れて作成しましょう。
※ユニバーサルデザインの観点から時刻表やスケジュール表、マニュアルや解説書には特に 色への配慮が必要となりますので、ユニバーサルデザインについても理解を深めていただ くとさらに機能的なピクトグラムが作れると思います。
2.ピクトグラムの歴史を学んでからデザインしよう!
ここでは、ピクトグラムの歴史についてご紹介します。
ピクトグラムを作る上で、歴史を学ぶことはとても重要です。
最近では、面白おかしく擬人化されたものや本来の目的以外でアート作品として注目を浴びているピクトグラムもあり、ピクトグラムの本来の目的や意味がわかりにくくなってしまっているものもあります。
ピクトグラムが開発されるまでの歴史を知り、目的や意味について知っておくことは、目的を果たすデザインを作るために重要です。
ぜひ、ピクトグラムの歴史を学んでから、デザインをしてみてください。
1920年ごろ : ピクトグラムの始まり
オーストリアの社会経済学者オットー・ノイラートが発案したアイソタイプがピクトグラムのはじまりとされています。
1960年 : Code Uic 4130が発行
列車を円滑に運行するために1922年フランス・パリで後に世界鉄道連合とも呼ばれるようになった「国際鉄道連合UIC」が設立され、言語や風習が異なる旅客が共通に理解できる記述方法を統一するために発行されたものがCode UIC 4130です。初版はわずか3ページの文章のみ。その後、100を超えるピクトグラムを使用したサインの記述方法が付属資料として追加されました。
1964年 : 東京オリンピックでピクトグラムを採用
オリンピックの歴史において初めて誘導案内や競技種目の表示にピクトグラムが採用されました。この東京大会のデザイン専門委員会委員長の勝見勝氏が「絵ことばの国際的リレー」を提唱したことで8年後のミュンヘンオリンピックでドイツのデザイナー、オトル・アイヒャーに継承され、その後のオリンピックにも引き継がれています。
2002年 : JIS Z8210 案内用図記号が制定される
日韓共同開催となったサッカー・ワールドカップを契機に国土交通省や経済産業省の監修のもと2001年に交通エコロジー・モビリティ財団で125種類の標準案内用図記号が策定され、2002年に標準案内図記号を原案とした JIS Z8210 案内用図記号が制定されました。また、日本が世界に先駆けてJIS日本工業規格における「JIS絵記号」を標準化し、高齢化やユニバーサルデザインの潮流もあり、以後改修を重ねながらピクトグラムは現代社会において、日常なくてはならない表現となっています。
上記のピクトグラムの歴史から、ピクトグラムは、言語や風習が異なる人々が共通で理解出来るようにするために作られてきたことが分かりますね。
最初は鉄道など公共交通機関に使用されていたピクトグラムも、スポーツや観光地など、使用されるシーンは確実に増えてきています。
ピクトグラムの目的を理解し、目的を果たせるデザインを作っていきましょう。
先述している通り、ピクトグラムは統一性のあるデザインにすることもポイントになるので、これからピクトグラムを作られる方は、現在の国土交通省ホームページで紹介されているJIS Z8210 案内図記号を参考に作成してみましょう。
バリアフリー・ユニバーサルデザイン 交通消費者行政/公共交通事故被害者支援
案内用図記号(JIS Z8210)令和元年7月20日
案内用図記号(ピクトグラム)とは、不特定多数の人々が利用する公共交通機関や公共施設、観光施設等において、文字・言語によらず対象物、概念または状態に関する情報を提供する図形です。視力の低下した高齢者や障害のある方、外国人観光客等も理解が容易な情報提供手法として、日本を含め世界中の公共交通機関、観光施設等で広く掲示されています。
現在JIS Z8210 案内用図記号が日本におけるピクトグラムの基準として制定されていますが、今後このJIS Z8210以外のピクトグラムを作ることが多く想定されますので、その基本ベースとして理解を深める目的として参考にしてみてください。
参考資料
TOKYO 2020 オリンピック・パラリンピックで使用されたスポーツピクトグラム
(開催は2021年)

3.ピクトグラムを作るためのツールと時短できる作業の進め方
ここでは、ピクトグラムを作るために使うツールについてと、時短するための作業の進め方についてご紹介します。
文字や図形をペンで描いていた時代から、マウスやタブレットで描く時代となり、使用するツールも大きく変わりました。これによりピクトグラムの成果物も紙ではなくデータとして扱われるようになりました。
まずは、デジタル時代となった現代のピクトグラムを作る上で、おすすめのツールをご紹介しますね。
3-1. おすすめのツール
ピクトグラムを作るときに、おすすめのツールはアドビ・イラストレーターです。(通称「イラレ」以下、イラレで表記させていただきます。)
パソコンで図形やイラストを描くときに多くのデザイナーが使用しているツールです。
なぜ、イラレがおすすめなのかについては、以下に代表的な理由を3つお伝えします。
①拡大や縮小しても解像度に依存しない「ベクター形式」のドローソフトであること。
専門用語ですが「ベジェ曲線」で図形を描けるので、ドットのようなギザギザした線では なく、滑らかな曲線が表現できるためシンプルで美しいデザインのピクトグラムを作るこ とが出来ます。ここがイラレをおすすめする最大の理由となります。
②印刷会社などに入稿する際に業界標準として、安心してデータの受け渡しが出来ること。
最近ではネット通販印刷や看板制作だけでなく、グッズ制作やデザインしたデータの販売 や受け渡しも頻繁にあります。そのため、業界内で広く普及しており、安心してデータの 受け渡しができるイラレがおすすめです。
③Webや動画ソフトに展開する際にも親和性が高いこと。
他のアプリやソフトとの親和性が高いこともイラレが多くのデザイナーに選ばれている理由のひとつです。
世界的にも使われているAdobeのソフトなので、チームや外部業者と協業する際に、他のアプリでも対応したファイル形式に書き出すことができます。イラレでデータを作成することができれば、アニメーションなどのデジタルコンテンツにおいても、ピクトグラムを表現することも可能です。
上記の理由からチームで動いたり、外部業者とやりとりすることが多いデザイナーは、業界標準のイラレを使用することをおすすめします。
3-2. 時短できる作業の進め方
仕事としてピクトグラムを作成しないといけない場合、納期はつきものですね。ここでは、効率よく時短もできる作業の進め方についてご紹介します。
結論からお伝えすると時短するためには、いきなりPCや紙に向き合わないということがポイントです。
頭の中にアイデアもイメージも浮かばないのにパソコンに向かっても時間の浪費です。
時間だけが過ぎてしまうことにならないために、次のステップで進めてみましょう。
STEP1. 作りたいピクトグラムの意味や果たす役割について理解する
STEP2. 参考になるデザインを参考サイトなどを使用して確認する
STEP3. ピクトグラムのデザイン要素を理解して、イメージを作る
STEP4. イメージが浮かんだら、紙またはPCと向かう
「イラレ」に慣れてない方は、まず基礎を身につけるためにも、AdobeのサイトやYouTubeなどでも解説されているので、見てみてくださいね。
どんどんツールも進化しているので、より便利に時短で作成できるようになっています。
(私もかれこれ30年くらい「イラレ」を使っていますが、ハードやソフト、アプリツールの進化は凄まじいです。以前は30分かかっていた作業が5分もかからないなんてよくある話ですね。)
イラレの知識が身に付き、これからデザインする際には、まずはいきなり紙やPCに向かうのではなく、お伝えしたSTEPでやってみましょう!
4.AIの出現で大きく変わるこれからのピクトグラム・デザイン
ここではAIの登場で大きく変わるピクトグラムの作り方やデザインについても紹介しておきたいと思います。
上記に紹介してきました、ピクトグラムを作る上で知っていただきたい事や具体的な作り方がこれからは大きく変わる可能性があります。いえ、間違いなく変わります。
それは世間を騒がせているAIの代表格「Chat GPT」や「Midjourney」の登場で、これまでの仕事の流れやシステムが大きく変化しているからです。
「ピクトグラムの作り方」も従来の手法とは異なりAIを使って新しいスタイルのピクトグラムを作ることができるようになりました。
自分のデザインイメージを上手にプロンプトで指示してやれば、AIが創造した素晴らしいピクトグラムが短時間でいくつも作れてしまいます。その指示する文章やキーワードの中に、ピクトグラムについて学んだ歴史や設置される場面、国際ルールや規格に沿った正確な情報をプロンプトとして与えることで、自分がイメージして作りたいと思うピクトグラムが自動生成される可能性が高くなります。
現状では最終的判断を人が行い、モノに印刷したり、サインプレートやデジタルサイネージに導入しますので、ピクトグラムそのものを作る(デザインする)過程はDX化していくと思いますが、すべてが一瞬に置き換わってしまう事ではありません。これからのピクトグラムをどのように社会で機能させていくかは、ピクトグラムの作成に関わる人こそが重要な役割を担うことになるでしょう。本来ピクトグラムは人や社会がより快適で便利になるツールとして開発され、上手に使いながら時代に合わせて変化していく必要があるため、人の感覚も必要だからです。
AIの力を借りつつ、より効率的にデザインできる時代になっていくのではないでしょうか。
5.ピクトグラムの著作権と購入出来るおすすめサイト
ここでは「ピクトグラムの著作権」についてと「ピクトグラムを簡単に購入」したり「無料でダウンロード」することができるおすすめのサイトについてご紹介します。
5-1. ピクトグラムの著作権
ここまで紹介してきました「ピクトグラムの作り方」に関する内容に関連して、もうひとつ重要なポイントがあります。それはピクトグラムにも著作権が存在することです。
印刷物やWEBサイトなどから勝手に複製して商用利用(二次利用)をした場合に、著作権法違反となる場合があります。また、ご自身でピクトグラムを作る場合でもシンプルが故に、たまたま酷似したピクトグラムが存在しないかなどについて、調べることが必要です。
酷似したピクトグラムがないかを調べたいときは、次で紹介するピクトグラム購入サイトを確認してみてください。何か作りたいピクトグラムがある場合は、デザインの参考としても勉強になるので、おすすめです。
5-2.ピクトグラム購入おすすめサイト
予算や時間の制約などから、自分で作るのではなく、購入したい場合もありますよね。
そんなときにおすすめなピクトグラムの購入サイトをいくつかご紹介します。
ヒューマンピクトグラム2.0
ヒューマンピクトグラム2.0は日常生活やイベント、ビジネスシーンなど様々な種類のピクトグラムが掲載されているので、目的や使用する場面別のピクトグラムが見つかりやすいという点でおすすめです。また、1つのテーマに対して動きに変化をつけたデザインも豊富に用意されているので、デザインスタイルの選択肢が多い点も購入する側からすると嬉しいポイントです。
「バリエーションのあるピクトグラムを探したい」「いろんなシーンで使えるピクトグラムがすぐに欲しい」という場合にはまずはこちらのサイトを調べてみましょう。
シルエットイラスト
シルエットイラストは新しいピクトグラムを探す場合にとても便利です。
10,000点を超えるピクトグラム素材がシルエットイラストに掲載されていますが、カテゴリも詳細に分類されているので、目的のピクトグラムを探しやすい点もおすすめポイントです。すべてモノクロシルエットのデザインで、ベクター加工してあるAI、背景透過PNG、高画質JPG形式のデータがまとめてZIPファイルで無料ダウンロード出来るので、あとで自分で加工してWEBサイトや印刷媒体に利用することが出来る点もありがたいです。
締め切りが迫っていて、時間のない場合にすぐに使えるので仕事の現場ではかなり重宝されるサービスだと思います。
シルエットAC
時間や予算の制約が厳しい仕事の現場に置いて、特におすすめしたいのがこちらのシルエットACです。
シルエットACもJPEG,PNG,EPSに対応したモノクロのデータがダウンロードし放題で利用できます。こちらのサービスはクレジット表記や許可も必要としないので、スグにWebサイトや看板などに使用できるシンプルなピクトグラムが多く掲載されています。
掲載されている点数は多くないですが、何より手間なく安心して利用できるところが最大のおすすめポイントです。
ピクトグラム無料素材
ピクトグラム無料素材は主にビジネスシーンで活用できるヒトの形をベースにしたピクトグラムが多く掲載されています。タイトル名の通り無料で使えるイラストも掲載されているので便利でありがたいサイトです。
プレゼン用や学校、公共の施設で使用したい場合など、予算をとるのが難しい場合も多いですよね。そんな時には無料で利用できるこちらのサイトをおすすめします。
上記のサイトは私自身もピクトグラムをデザインする際によく参考にさせていただきます。
6.常に追加されているピクトグラム
ここでは、近年日本で追加登録された新しいピクトグラムを解説しながら、今後も進化し続けるピクトグラムについても予想してみます。

6-1.AED
2019年7月にJIS Z8210(案内用図記号)が改正され、AEDの図記号が加わりました。このAEDは全国に設置が広がりましたが、実際の使用率はわずか5%未満と言われています。
これまでは各メーカーが独自のステッカーをAED設置場所に貼っている場合が多かったのですがJIS規格に追加された事で現物だけでなく、フロアマップ等にもAEDのピクトグラムが使用され始めています。

6-2. 加熱式たばこ専用喫煙室
2020年4月から多くの飲食店や施設が原則禁煙となりましたが、全面禁煙の施設もあれば、紙巻タバコはNGだが加熱式タバコなら一定の条件のもと喫煙可能なスペースを設置する施設もあり、施設側には表示が義務付けられるようになりました。従来の「喫煙所」「禁煙の図記号だけでは急速に普及した加熱式タバコを区別することができないため、新たに「加熱式たばこ専用喫煙室」の図記号であるピクトグラムがJISに追加されました。

6-3. カームダウン室
2020年5月の改正でJIS Z8210(案内用図記号)に追加された「カームダウン・クールダウン」できる場所を示す図記号は知的障害や発達障害などがある人が、人の多い場所や騒々しい場所、高温多湿の場所でパニックを起こすことがあり、周囲と遮断された静かなスペースが必要とされ、そのスペースの名称がカームダウン室です。
2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設された新国立競技場や有明アリーナにも設置されました。
6-4. 介護用ベッドと男女共用トイレ
他にも高齢社会やジェンダーフリーなどの社会の変化に伴い「介助用ベッド」や「男女共用トイレ」などの図記号も追加されました。
6-5. 授乳室
また今まで女性専用のイメージが強かった授乳室(ベビーケアルーム)を男性も利用するようになったことで、女性が安心して授乳できるスペースの有無が分かる表示を必要とする声がある中で、男性がどこまで進入して良いのか分かる表示や男性も使える授乳室の表示が欲しいとする声もあがり、女性用と男女共用の授乳室図記号を新たに追加して、男女双方に分かりやすいピクトグラム表示が出来ました。
これからもピクトグラムは時代の変化に合わせてカタチや表現方法も進化して、3D化された立体物であったり、画面の中で動くアニメーションのようなデジタルコンテンツとして
進化すると予想されますので、それを表現するためのデザインを含めた知識や技術もさらに高いレベルで教育できる人材も重要となります。

7.まとめ
ここまでピクトグラムを作るために理解しておくべきポイントを解説してきました。
ピクトグラムは「分かりやすく情報を伝える」役割があるので、以下の4ポイントを押えてデザインしてみましょう。
ピクトグラムを作るときに押えておくべきデザインの4ポイントは
①デザインはとにかくシンプルに
②統一性のあるデザイン
③直感的に理解できるデザイン
④色にも情報を伝える意味を持たせる
ピクトグラムを効率よく作成するためには
◆伝えたい情報を整理してから視覚化し、さらに単純化する
◆可能な限り要素を削り、シンプルに表現する
◆実際に使用される場面で実物大を設置して、第三者に検証してもらう
がとても大事なことです
実際にデザインに長年携わってきた私だからこそわかる内容をお届けしてきました。
ピクトグラムの歴史や進化についても理解を深めて、まだ普及していない施設や、今後さまざまな場面で必要となる次世代のピクトグラムを作っていただければ、大変嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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